熊本市電、「上下分離」で改革へ 25年度にも 運転士を安定雇用、収支改善は不透明

熊本市が、市電の将来的な経営形態として運行と所有を分ける「上下分離方式」の検討を本格化させている。市交通局に代わって運行を担う一般財団法人を新たに設立し、運転士の安定確保や持続的な運営を目指すという。早ければ2025年度にも新体制に移行する構えだが、改革によって将来収支がどう改善するかなど、まだ不透明な部分も多い。

 2年後の24年に開業100年の節目を迎える熊本市電。市交通局は上下分離方式を検討する理由について「市電を持続的、安定的に運行するには運転士の雇用問題を解決する必要がある」と説明する。

 市電の運転士は、人件費を抑制するため04年度から正規職員としての採用を取りやめ、非常勤職員で退職者分を補充してきた。その結果、今年4月時点で運転士85人のうち81人が1年ごとに契約を更新する会計年度任用職員となり、残る4人も再任用職員だ。

 「身分や給与が不安定では新たな人材の確保や技術の伝承が困難。この状況が続けば運行の安全性は保てない」と伊藤幸喜局次長。ただ、市の行財政改革に伴い業務職員は正規採用ができないため、新たな事業体を設けて運転士の処遇改善を図りたい考えだ。

 市は今月、新たな経営形態の中間報告を公表した。上下分離方式で「上」の部分に当たる運行事業者については、公益性や安定性、他都市の先行事例から市出資の一般財団法人が最適と判断。運転士は全て正規職員として雇用し、事務職や技術職を含めて180人体制を想定する。

 一方、「下」に当たるインフラは引き続き市が所有し、運行を担う新事業者に車両や施設を貸与する。新車両購入や施設整備などは公費で負担。交通局そのものは廃止し、他の公営企業に統合するか、市長部局に担当部署を新設するかの2案を軸に検討を進めるとした。

 市電の乗客数は19年度に1100万人を超えていたが、新型コロナウイルス流行後の20年度は673万人、21年度も734万人に減少。経常収支も2年連続の赤字に転落し、厳しい経営が続く。市は一般財団法人による事業展開で、運賃収入以外の収益の可能性も広がると期待する。

 ただ、開会中の9月定例市議会で中間報告を受けた市議からは「なぜ上下分離が必要か、市民は分かっていない」「熊本市にとって市電は宝となる存在。慎重に検討してほしい」といった指摘や注文が相次いだ。

 市交通局は、上下それぞれの収支見通しなど盛り込んだ最終報告をまとめ、12月市議会に示す方針。経営形態を変える歴史的な改革を目指すだけに、古庄修治交通事業管理者は「上下分離方式は市電を永続的に残すために必要な選択だ」として市民の理解を得たい考えだ。



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